市村アイデア賞

受賞団体訪問

日本原子物理学の父の生地で育まれる自ら考え実行する力
第50回(2019年度)努力団体賞 岡山県里庄町立 里庄中学校
個人賞入賞者3名と池田敬治校長(左端)、入江伸一教諭(右端)
個人賞入賞者3名と池田敬治校長(左端)、入江伸一教諭(右端)

奨励賞 「ペットボトル倍速注ぎ口」
いつもペットボトルに水を入れるのに苦労していた祖父と祖母を楽にしたいと思って考えたアイデアなので、受賞はすごくうれしかったです。(1年)
奨励賞 「ネットで作る携帯石けん」
キャンプに行くときに石けんは意外に邪魔だったので、もっとコンパクトで便利なものをと考えました。(1年)
佳作 「ラクラクパンチ」
授業で配布される資料をファイリングするときに効率良く正確な位置にパンチ穴が開けられればと思って考えました。アイデアだけで賞がもらえると思っていなかったのでうれしかったです。(3年)


生徒に根付く三つの言葉、「気づき」「考え」「実行する」

 第50回市村アイデア賞において、岡山県里庄町立里庄中学校(以下、里庄中)が二度目の応募で努力団体賞と3名の個人賞入賞を果たしました。里庄町は、日本原子物理学の父と呼ばれる仁科芳雄博士の出身地でもあり、毎年岡山県の中学・高校を対象とした「仁科芳雄博士顕彰ロボットコンテスト」が開催される科学教育の根付いた地域です。「ロボットコンテスト2019」では里庄中が優勝から3位まで独占という優秀な成績を残しています。また昭和22年よりJRC(青少年赤十字)に全校加盟しており、2分前行動やノーチャイムなど生徒の自主性を育む活動が根づいている学校でもあります。
 「今回の市村アイデア賞では、最初の提出で実物を作ってきたり、アドバイスをする前に気づいたり実行したりする生徒がたくさんいました。こういうところもJRCの『気づき』『考え』『実行する』という目標が生きていると思います」と理科担当の入江教諭は語ります。

里庄町立里庄中学校   応募のきっかけを作られた入江教諭
里庄町立里庄中学校   応募のきっかけを作られた入江教諭

機会を与え挑戦する姿勢を引き出す

 市村アイデア賞への応募は、募集要項を読まれた入江教諭が興味を持たれたことがきっかけでした。ゴールデンウィークの宿題として生徒が提出した300件近くのアイデアに、二人の教員がそれぞれアドバイスを行い夏休みに完成させました。「特に苦労したことはありませんでした」と入江教諭は語りますが、多くのアイデアにひとつひとつ指導をしていくのは、労力がかかることだと思います。各生徒の自主性もさることながら、入江教諭はじめ教員のみなさまの細やかな指導が二度目の応募での受賞という結果につながったのでしょう。池田校長は「子どもたちにさまざまな機会を与えて挑戦させることが必要だと思っています。今回の受賞も教員が興味を持って動いてくれた結果です」と語ります。
 また池田校長は、子どもたちに夢を持たせることの重要さを、「中学生になると夢を語らない生徒も多いのですが、将来変わってもよいので中学時代に夢を持って、その実現のために興味のあることを追求していく子どもを少しでも増やしたいと思います。理科だけでなく全般において、生徒の疑問や行動をどんどん引き出し、伸ばす学校の環境を作っていきたいと思います」と語ってくれました。

夢を持つ重要性を語る池田校長
夢を持つ重要性を語る池田校長