市村産業賞

第50回 市村産業賞 功績賞 -01

FTTH(Fiber to the home)装置の開発と実用化

技術開発者 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 通信技術部
主席技師長 小崎 成治
技術開発者 同社 コミュニケーション・ネットワーク製作所
光通信システム部 主席技師長 片山 政利
技術開発者 同社 半導体・デバイス事業本部 半導体・デバイス第二事業部
事業部長 吉田 一臣

開発業績の概要

1.開発の背景
 1990年代以降、電子メールやWeb閲覧サービスなどの登場により、インターネットが家庭に普及した。その後、YouTubeに代表される動画配信サービスの出現から、光ファイバを用いたFTTH技術によるインターネットの通信容量拡大に期待が寄せられた。
三菱電機も光デバイス技術、光伝送技術、イーサネット通信技術、セキュリティ、認証技術、オペレーション、情報端末技術等多岐にわたる要素技術の開発を行ってきた。

2.開発技術の概要
 1本の光ファイバを用いて1Gbit/sの通信データ量を複数ユーザで共有するためのGE-PON (Gigabit Ethernet Passive Optical Network)システム(図1)の要素技術を開発した。

(1) 帯域割当技術:各ユーザ宅装置(ONU: Optical Network Unit)と通信事業者ビル装置(OLT: Optical Line Terminal)間の通信データ量を動的に制御することで通信効率を18%向上
(2) 高速同期技術:連続型AGC(Automatic Gain Control)方式と8相サンプリング方式により高速、高ダイナミックレンジ(24.1dBの強度差の光信号を400nsで同期再生)を実現
(3) 埋め込み型回折格子技術:回折格子寸法を高精度に制御することで高品質(高性能)な光デバイスを実現

3.開発技術の特徴と効果
 国内シェア45%のGE-PONシステム装置、世界シェア50%の光デバイス(図2)により、世界のFTTH普及に貢献した。電車内でスマートフォンを用いて動画を楽しむ場面など、ユーザが高品質かつ高信頼のブロードバンドサービスを享受できる環境の構築に寄与した。 

図1


図2