新技術開発助成

第93回新技術開発-05

肝癌臨床予測モデル動物の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 ステリック再生医科学研究所
代表取締役 米山 博之
所 在 地
東京都港区
技   術
所 有 者
株式会社 ステリック再生医科学研究所
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

  癌のなかでも3番目に死亡数が多い肝臓癌は、ウィルス性もしくはアルコール性のものが主であると考えられてきたが近年、生活習慣病から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を経由して肝臓癌へと進行するケースが顕著に増加し問題となっている。しかしこれまで肝臓癌に有効な薬剤は開発されておらず、非臨床試験のためのモデル動物開発に大きな期待が集まっている。
 従来の肝臓癌モデルマウスは発がん物質を作用させて作られてきたが、癌発症頻度や発症時期にバラツキが大きく臨床予測が困難であった。一方、ヒト肝癌細胞を移植してモデルマウスを作る手法があるが、発症のメカニズムが異なるため臨床的意義の検証が困難であった。本開発では独自技術による世界初の肝癌モデルマウスの実用化を目指すものである。申請者らは既に肝癌モデルマウスをヒトの場合と同じ機序で作製する世界で唯一の技術を開発しており、特許を有している(「脂肪性肝炎-肝癌モデル動物」:登録2013.8.9)。
 申請者らは前段階として、NASHモデルマウスの開発に成功し薬理試験ビジネスを確立してきた。すなわち製薬メーカーやアカデミア研究機関をクライアントとして200種以上の候補薬に対し非臨床試験の受託事業を進めてきた実績がある。その延長での肝癌マウスの開発である。具体的には、肝機能の生化学的評価、転移の可能性の確認、薬効試験、遺伝子発現プロファイリングなど、多面的な課題に取り組み、この肝癌モデルマウスについて特定薬剤に対する生存率や腫瘍縮小効果などの薬効試験を通じて臨床相関性を明らかにする。
 生活習慣病から進行する肝臓癌は今後、大きな社会問題となる可能性が指摘されている。本技術開発でその有効性の検証が期待される肝癌モデルマウスは、その有用性に鑑みて公益性が高く、また同社の当該分野に置ける実績から考えて大きな成果につながる期待が大きい。

図