新技術開発助成

第96回新技術開発-06

起立・座位低血圧による寝たきりを予防する空圧制御ウェアの開発

技 術 開 発
契 約 者
東京航空計器株式会社
代表取締役 若杉 進二
所 在 地
東京都町田市
技   術
所 有 者
東京航空計器株式会社 ほか
技   術
開 発 者
東京航空計器株式会社
平本 享史

技術開発内容

 血圧を一定に維持する圧受容器反射系に異常をきたす疾患では、重力により下半身に移動した血液を脳まで持ち上げることができないため、立位はおろか座位でも失神発作を起こす。この起立性低血圧に対する治療法として、これまで薬物療法と心臓ペースメーカによる頻拍ペーシングが試されてきたが、いずれも有効性や副作用に問題があった。
 そこで、空圧ウェアを用いて下半身を圧迫することで血圧低下を防ぐ装置を考案し、医療現場で実用できるように小型・軽量化、上腕カフ血圧計への対応等を行い、座位・立位でのリハビリや食事を可能とすることを目指す。この技術は患者の疾患を治療するものではないが、健康寿命を有意に改善することが期待できる。開発する空圧ウェアは、現在使用されている圧迫ストッキングに比べて圧迫圧が高く実用的な効果が見込める。また、国内外で普及している医療・救急用ショックパンツが臥位のみで手動、一定圧であるのに対して、座位・立位で使用可能かつ血圧低下に応じて下半身を圧迫し治療する装置として新規性がある。
 圧受容器反射系を人工的に構築する研究・開発は国内外で行われておらず、本装置が完成すれば、重症の起立性低血圧のために寝たきりを余儀なくされていた患者に新しい治療を提供する道が開ける。また、神経疾患患者(パーキンソン患者15万人)、脳卒中患者(124万人)、脊髄損傷(10万人/毎年5000人発症)、糖尿病(患者数250万人)、などの一部、献血時の副作用である低血圧(5万6500人/年)、災害時の外傷性ショックの治療、などにも用いることができ、また、リハビリや介護施設での使用も含めると広範囲での需要が見込まれる。

図