新技術開発助成

第96回新技術開発-10

CFRTP用超音波開繊・樹脂含浸装置の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 アドウェルズ
代表取締役 中居 誠也
所 在 地
福岡県筑紫郡
技 術
所 有 者
株式会社 アドウェルズ
技 術
開 発 者
株式会社 アドウェルズ
グループリーダー 吉岡 大典

技術開発内容

 熱可塑性樹脂中に炭素繊維が一方向に並ぶプリプレグテープは、高い強度と軽量性を両立するCFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastics炭素繊維強化熱可塑性樹脂)製品用の素材としてのニーズが拡大しているが、これまで樹脂の開発・探索とともに、テープ製造において、束として供給される炭素繊維を平らに広げた(開繊)後に、樹脂を含浸させる過程において、炭素繊維にダメージが生じる、分散が不均一になる、或いは、樹脂にボイドが生じる、等の現象が起き、結果として強度が低下する課題があった。申請者はコア技術である超音波金属接合技術を応用し、超音波により開繊と樹脂含浸を行う装置を着想し、予備的な装置を構成して、超音波ホーン間の間隙を精密に制御することで炭素繊維にダメージを与えることなく予備開繊した後に、熱可塑性樹脂テープで上下に挟みこんだ状態で再び超音波を与えて開繊と含浸を同時に行いながらテープを移動させることで、従来の課題を解決しうる均一なテープを形成できる見込みを得た。この助成事業では、連続的にテープを製造するシステムを試作し性能を検証する。材料の送り・巻取りおよび予備加熱ユニット、厚みセンサなどを追加し、予備開繊時の超音波振幅、隙間、送り速度、開繊・含浸時の予備加熱温度、送り速度、予備開繊と開繊・含浸のバランス等について、均一なテープを実用的な速度で連続製造できる条件を見出す。
 各種の樹脂や繊維に対応可能な、熱可塑性炭素繊維テープの製造装置が実現されれば、市場ニーズの急拡大に応じて開発・探索が進む各種の樹脂を用いたテープ及びそれを用いた成形品の開発・製造が、加速されると期待される。各種の複雑形状製品の製作や、ロボットによる自動生産のための素材としての活用が進むことで、自動車、航空機等の軽量化、特に量産車への用途の拡大に貢献し、高い省エネルギー効果に波及する。

図

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