臓器や組織の置換・再生を必要とする難治疾患に対して、再生医療への期待は益々高まっている。本新技術開発は、細胞塊(スフェロイド)をニードルに刺した状態で立体的に構築するという新しい手法を利用して、生体内で置換可能な組織や部位を実用的に形成できるバイオプリンターを開発するものである。
具体的には、スフェロイドを1個ずつ、すり鉢状のウェルに装填した後、ニードルを各ウェルに移動させてスフェロイドをニードルの必要な位置に刺したものを用意し、目的とする3D形状データに沿ってこれをアレイ状に立てることで生体組織を構築するという原理に基づき、一連の工程を自動化したバイオプリンターを開発する。また、ニードルの自動交換を可能とするチャッキングメカニズム、高速な制御システムの開発も進める。スフェロイドをウェルの中心に確実に装填し、ニードルを正確かつ迅速に刺すプロセスを確立するとともに、ニードルを正確にハンドリングする際に必要となる光学計測システムの採用により、工程全体の精度とスループットの確保を図る。
開発されるバイオプリンターは、迅速に3D 生体組織の形成を可能とすることが期待され、完成の暁には再生医療の研究開発に普及するのみならず、臨床応用を経て再生医療の現場で応用されることが期待され、今後、超高齢化社会を迎えるにあたって増大が予測される難治疾患の治療手段の一つとして貢献することが期待される。
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