新技術開発助成

第97回新技術開発-08

大型複合材製品成形に用いる軽量離型機能付治工具の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 ヤシマ
代表取締役 井上 良介
所 在 地
岐阜県各務原市
技 術
所 有 者
国立大学法人 岐阜大学、株式会社 ヤシマ、
東洋炭素株式会社、株式会社 吉田エス・ケイ・ティ
技 術
開 発 者
株式会社 ヤシマ 生産管理部
取締役生産管理部長 中島 薫

技術開発内容

 航空機・宇宙機器向けには、強度や軽量性などの特長から複合材(CFRP)が多用されつつある。その成形型にはインバー(ニッケルと鉄の合金)などの金属型を用いており非常に重いため取り回しが困難で、また有機系の離型剤を手作業で塗布する工程があり、塗布工程に時間がかかるなどの課題があった。
 本開発はこれらの課題を解決する安価で軽量かつ離型機能を有した治工具の開発である。成形型の材料をインバーとの比重差約1/4となる黒鉛を用いることにより軽量化を図るとともに材料費が安価などの特長がある。さらに成形型の表面にフッ素系のコーティング皮膜を形成することにより、従来のような塗布工程が省略でき大幅な製品製造工数の削減(約20%程度)が期待できる技術である。図1に黒鉛製成形型の製造工程を示す。特に航空機用途を考慮すると大型な型が必要となり今回の技術開発は特に優位性を発揮する。また、図2に今回試作する離型機能付の黒鉛成形型とカウルプレート(当て板)の例を示す。
 本開発により、従来に比較し成形型が安価で、軽量化によって作業者の取り回しが容易になる。さらに工数のかかっていた離型剤塗布作業が不要となるだけでなく、有機溶剤を用いないため作業者の健康管理上のメリットもある。主に航空機向けの開発であるが、自動車業界などへの展開の可能性もある。日本の成形型産業の競争力向上に寄与することが期待される。

図

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