新技術開発助成

助成テーマ完了認定企業紹介 041

第98回 平成28年度第2次助成テーマ

完了認定 平成30年9月
代表取締役 西野 義則
代表取締役
西 野 義 則
企業名 株式会社NBL研究所
会社概要 資本金 :9260万円
従業員 :6名
事業内容 複合材料技術(特に高圧耐食油井管関連技術)の基礎・応用に関する研究開発及び受託・共同研究及び開発製品・技術ノウハウの販売
助成テーマ名 高圧管を用いたCNG.水素タンクの開発

開発技術の概要

地球環境問題、大気環境問題、エネルギー問題の解決策として、液体燃料に代え、ガス燃料を用いる技術が脚光を浴びている。中でも水素ガス自動車は、乗用車ミライの量産販売開始以来、普及が進みつつある。ガス燃料の自動車への適用には、車載用、ステーションへの輸送用の高容量のタンクを、安全性高く、軽量に作る技術開発が不可欠である。弊社は、繊維強化プラスチックの円筒管を、独自開発した遠心成形法を用い製造する技術を有している。強化繊維を均一に積層することが可能となるため、繊維を外巻する従来法に比して2倍以上の強度を持つ管を、高い生産性で製造できる。弊社は、世界シェアの6割を占める耐圧油井管としてこの管を実用化しているが、エンドキャップを管の両端に設置することで、高圧ガスタンクとして活用することを着想し、これまでに、理論計算に基づく設計、それを実現する工法検討と、水素漏えいを抑制する樹脂の開発を行ってきた。
本助成事業では、高圧のインジェクション成形によりFRPエンドキャップを試作し、さらにFW(外巻き)成形より優れた量産効果と強度を持つことが期待できる遠心成形法による、常用40MPa(設計圧 120MPa)CNG(高圧天然ガス)タンクの試作成形に成功した。
同時にLNG(液化天然ガス)の-160℃耐寒性に優れた SUS316材料による真空断熱する2重構造のインナータンク収納のFRP高圧タンクの試作にも成功した。これらの試作に成功したタンクの設計性能(破壊圧)は常温で120MPaであり、常温で約600倍のガス体積膨張する液体LNGの気化圧力約60MPaにも耐える。魔法瓶構造を実現することで、高圧ガスと液化ガスを同時に貯蔵することが期待される。魔法瓶構造を持つFRP製の液体・高圧併用のガスタンクを用いれば、従来の炭素繊維を外巻する構造の高圧タンクに比して、大容量の水素を車載・輸送可能になるばかりか、魔法瓶構造の隙間を、輸送時保冷時は真空として、消費時に大気を流すことで、気化エネルギーを抑制できるとともに、タンク内へのガス充填において高圧注入に必要なエネルギーおよび設備を省くことができる。天然ガス車の車載タンクについて低コストで安全性の高いタンクとしての実用化がまず早期に期待でき、実績が得られれば更に、水素用としての車載用あるいはタンクローリー輸送用としての適用が期待される。普及が進めば、水素エネルギー社会の実現の加速に大きく寄与する。

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これからの計画

最終目的の水素ガスタンクも同様に、CH2(高圧水素) 常用を現行 70MPaから80MPa(設計圧力160MPa)にして、LH2(液体水素)の低温容器にも対応可能なSUS316の内タンクによる対応を試みて、実用化への足掛かりにする計画である。なお、水素ガスタンク開発においては、本事業においてガラス繊維で確立した製作方法に基づき、炭素繊維を用いて製作する。
熱疲労試験については、事業化商品としての普及型タンク開発の際に、最終試作として、断熱性能・低温強度確認等の耐久試験を実施する。

企業からのお願い

NBL研究所は、人と技術を基盤にした研究開発会社です。アカデミックな基礎技術を大学研究室とともに研究し、基礎研究から先端研究、そして事業開発を行います。事業内容は、主にFRP管に関する研究開発及び評価試験、技術・ノウハウ管理、トレーサビリティシステムの開発等です。世界一の技術を開発・継承する若人・野武士、世界一の技術に参画したいと考える助太刀の皆様、人生の集大成を世界一の技術に賭ける篤志家の方々を歓迎します。



問い合わせ先 E-Mail:tatsumi@nbl-technovator.jp
TEL:072-493-3091
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