植物研究助成

植物研究助成 25-20

津波に対する海岸林耐力限界の評価手法の開発

代表研究者 静岡大学 防災総合センター
准教授 原田 賢治

背景

 津波防災対策事業の海岸整備では、緑の防潮堤と呼ばれる海岸保全施設に海岸林を活用した整備が検討されている。津波による海岸林の被害発生については力学的な現象として評価されるべきであるが、その特性は十分に明らかにされていない。海岸林の持つ津波減勢機能の発揮に向け、耐力限界を明らかにすることで、津波対策における海岸林の利用や保全を促進する必要がある。

目的

 日本沿岸の海岸林を対象とし、津波耐力限界の定量的な評価手法を開発する事を目的とする。津波により海岸林に作用するモーメントに着目し力学的な耐力限界の特性について、現地試験と材質強度試験により計測・分析する。

方法

(1) 海岸林現地引張り試験を行い、引張り力と変位を計測することで根返り破壊によるモーメントの耐力限界を評価する。樹木条件等の異なる海岸林木を対象に計測を行い、耐力限界の特性を明らかにする。
(2) 海岸林の生木を試料として用い、材質強度試験を行い、海岸林の幹の折損・幹折れ等による材料としての曲げ強度等の耐力限界を評価する。ここでは生育している海岸林を対象とするため生木を試料として用いる。樹木条件等の異なる海岸林の試料を用いて試験を行い、材料としての曲げ強度等による耐力限界の特性を明らかにする。
(3) 上記の試験に基づいた耐力特性についてモデル化を行い、現地の海岸林に対する津波耐力評価手法を力学的な検討条件として提案する。

期待される成果

 海岸林の津波耐力限界について、定量的な評価手法が開発される。これにより、今後、津波災害が想定される地域の海岸林の保全・管理・整備において、海岸林が流失し、漂流物として被害拡大に繋がる可能性を検討する事ができる様になる。巨大な津波が想定される地域において、本研究の手法を用いる事で、海岸林被害の可能性を評価でき、海岸林の管理、整備、保全の見直し等により事前対策で、海岸林の漂流物化による被害拡大の軽減に貢献できると考えられる。