植物研究助成

植物研究助成 25-21

植物細胞の万能細胞化に関与する遺伝子発現・代謝ネットワークの解明

代表研究者 千葉大学 大学院 園芸学研究科
准教授 渡辺 正已

背景

 我が国には、約7,000種類の植物が自生し、1,690種が絶滅危惧種(狭義)に指定されています。本研究の全体構想は、絶滅危惧植物の万能細胞バンクを設立し、体細胞クローン個体を大量増殖させて、植物種の多様性を保全・再生することです。植物細胞は細胞壁に囲まれているため、葉から単細胞を単離するためには、細胞壁分解酵素で細胞壁を溶解させ、プロトプラストを単離する必要があります。プロトプラストは、過剰なストレスを受けているので、タバコなど一部の植物のプロトプラストでは比較的容易に個体再生しますが、他の多くの植物ではプロトプラストが初期化せず、細胞死に至ります。

目的

 本研究は、プロトプラスト初期化のボトルネックとなっているプログラム細胞死を回避するために、プロトプラスト化によって代謝が攪乱した原因遺伝子を網羅的に同定・定量し、プロトプラストを初期化する研究に発展させることです。

方法

Total RNAを抽出し、次世代シーケンサーでRNA分子を網羅的および定量的に解析する。
葉およびプロトプラストの一次代謝産物および遺伝子発現量を統計解析する。
WebアプリケーションのKappa View4、MapManなどを用いて、葉およびプロトプラストの代謝産物および遺伝子発現ネットワークのプロファイリングを完成させる。

期待される成果

 プロトプラスト化によって遺伝子発現がどのように変化したか具体的にわかれば、プログラム細胞死を阻止してプロトプラストを初期化するための技術開発に応用できます。万能細胞から絶滅危惧植物を大量増殖させることによって、種の多様性の保全と再生への貢献が期待されます。