復興支援新技術開発助成

復興支援新技術開発-01

次世代空気圧シリンダの製造技術の開発

技 術 開 発
契 約 者
ECO-A株式会社
代表取締役   水野 芳伸
所 在 地
岩手県盛岡市
技   術
所 有 者
上記技術開発契約者に同じ
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

【技術開発内容】

 各種産業設備機器には、多くの空気圧シリンダが組み込まれており、より小型、軽量、安価な空気圧シリンダが求められている。申請者は震災前より空洞化が進む岩手県沿岸地区の活性化を目指してオンリーワン技術に基づくものづくりベンチャー企業を創業し、地元経済界等からの支援も受けて、樹脂と金属からなる次世代空気圧シリンダの開発を始めた。その直後、震災に遭遇し、直接の被害は大きくなかったものの、事業環境の悪化に伴い岩手内陸部に拠点を移した。本開発は次世代シリンダの試作と評価を地元企業や研究機関の協力を得て行う。
 岩手県の松尾鉱山の硫黄の活用を目的として合成された有機化合物で、金属表面を処理することにより、接着剤を使わずに金型内で金属と樹脂を接合し複合構造を形成するインサート成形接着技術(TRI)は、岩手の鞄決沒d化と潟gーノ精密が、岩手県工業技術センター等との産学官連携で開発した有望な技術であるものの、複雑な射出条件設定、製品バラツキなどに課題があった。これを克服するため申請者は、表面処理を施した金属部材を予め金型内に設置し、その金型に溶融樹指を注入する際、同時に金属部材にパルス状の大電流を印加し、金型内で加熱する通電加熱式インサート成形技術を発明した。この技術を用いることで、従来とは異なる簡便な構造の空気圧シリンダの実現が期待できるが、これまでの段階では、シリンダとして要求される気密性・強度が必ずしも満たされていない。そこで、本助成により、成形金型内の電極構造を含む通電システムを見直して、最適成形条件を探索することにより、空気漏れ、耐圧性、耐久性等の要求される性能を満たす空気圧シリンダを開発する。
 空気圧シリンダは、多様な産業機械に広く使われていることから、小型(従来の3/4)・軽量(1/2)・安価(1/2)で、部品交換が容易な製品が実現すれば、産業機械の競争力強化に繋がり、ダウンタイム低減等を通じたプロセス製品のコスト低減・生産性向上等の波及効果も大きい。更に医療、福祉、介護用支援機器を含む各種ロボットへの適用を通じた、健康社会実現への寄与も期待される。こうした研究開発型企業が地元で成長することにより、被災地域の活性化、雇用拡大にも繋がる。

図