市村学術賞

第49回 市村学術賞 功績賞 -02

心拍変動解析に基づいたてんかんアラームの開発

技術研究者 京都大学 大学院情報学研究科 システム科学専攻
助教 藤原 幸一
技術研究者 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
心療・緩和医療学分野
助教 宮島 美穂
技術研究者 熊本大学 大学院先導機構
助教 山川 俊貴
推  薦 京都大学

研究業績の概要

 てんかん発作によるけいれんや意識障害に伴う事故によって、重傷、死亡につながる場合があり、交通事故や発作に伴う風呂場での溺死,コンロでの調理中における火傷は数多く報告されている。しかし、患者が数秒前でもてんかん発作の兆候を検知できれば、発作までに身の安全を確保できる。 そのため、日常生活で使用できるウェアラブルデバイスを用いたてんかんアラームの開発が望まれていた。
 本研究では、てんかん発作前に心拍パターンが変化するという知見に基づいて、心拍変動(HRV)解析を用いたてんかんアラームを開発した。本アラームは、ウェアラブルセンサを用いて測定したてんかん患者の心拍データから HRV指標を抽出し、抽出したHRV指標を用いて発作兆候を監視する。発作予知には機械学習的なモデルを用いる。結果の例を図1に示す。図は(上図)と発作周辺期(下図)における監視変化であり、線と縦線はそれぞれ発作起始と管理限界であり、色を付けた部分は発作兆候検出を示している。確かに発作間欠期では発作兆候は検出されていないのに対して、発作周辺期では発作兆候が検知され予知に成功している。最終的に、開発したアルゴリズムによって、臨床にて収集した全11例の発作症例のうち10例の症例において、発作起始1分以上前に発作を予知することができ、偽陽性頻度は0.7回/hあった。
 さらに、開発したアルゴリズムをスマートフォンアプリ(図2)として実装した。これにより、ウェアラブル心拍センサを用いて患者の心拍データを測定することで、院外においてもてんかん発作を予知できるようになり、患者が日常生活で使用できるてんかんアラームを実現することができた。本システムは、近い将来の医療機器としての実用化を目指し、臨床現場での検証が続けられている。

図1

図2