排水処理で発生する余剰汚泥は、産業廃棄物全体の43%を占めており、370万トン/年も排出されている。現在余剰汚泥の減容化に際しては、物理的処理、化学的処理及び生物学的処理方法が使用されているが、どの技術も、既に発生した余剰汚泥を可溶化する技術であるとともに、大型装置を設置しなければならない。このため、汚泥の回収市場排出量×回収費用(14〜20円/kg)=2兆〜3兆円/年の費用がかかっている。
余剰汚泥は、油脂、タンパク質、デンプン等で形成されている。この中で、油脂類は難分解性の成分であり、余剰汚泥の5%強を占めている。本技術開発は、有用な微生物を用いて、排水中の有機物を事前に分解することによって、結果的に余剰汚泥の発生を抑えるというものである。この開発実現のため、約300の土壌や排水から有効な微生物の探索を行い、新規に耐酸性油脂分解菌と高濃度脂肪酸分解菌を新たに見出し、油脂量を1/10に低減することを可能にしている。
現在、有機物が多く含まれる食料品製造業全体の余剰汚泥の処理にかけている費用は、全国平均では、1トン当たり20,000円であることから、370万トン(排出量)×20,000(処理費用)=740億円/年と莫大な費用を要している。
本技術開発の成果として、余剰汚泥の処理における産業廃棄物の減容、廃棄物処理費用や労働力の削減になり、環境負荷の低減、企業経営の効率化及び低コスト化等に大きく寄与出来るものである。
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