新技術開発助成

第100回新技術開発-11

光触媒技術を用いた高純度希少糖の製造

技 術 開 発
契 約 者
アクテイブ株式会社
代表取締役 長濱 正光
所 在 地
千葉県野田市
技 術
所 有 者
アクテイブ株式会社
技 術
開 発 者
アクテイブ株式会社 研究開発部
主任研究員 金井 良博

技術開発内容

 甘味料は広く多様な食品に使用され、国内のみならず世界規模で大きな需要がある。一方で、糖質のブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)を摂り過ぎることによる健康被害(肥満、糖尿病)も増大しており、世界保健機関も警鐘を鳴らしている。近年は消費者の健康志向の高まりを受けて、国内でも糖質ゼロ・オフ市場が急成長を見せている。そのような背景から、砂糖に似た良好な味質をもちながら、生体内で代謝されずカロリーオフが実現できる「希少糖」に対する社会のニーズが高まっている。
 しかしながら、希少糖は、不斉炭素が多い構造であり、化学合成が極めて困難であることや微量のため抽出が難しいことから、希少糖約50種類のうち、市場には2種類(D-プシコース、エリスリトール)しか存在しない。
 本技術開発は、光触媒反応特有の強力な酸化力により、糖に対して従来起きなかった新規の酸化反応を引き起こし、希少糖へと構造変換ができることから、複数種の希少糖を低コスト 、高純度で生産可能にするものである。現在は、酸化チタン系光触媒を最適化することにより、D-グルコース、D-グルコン酸などの低価格糖から、D-アラビノース 、D-リキソース、D-エリスロース、D-トレオース の4種の希少糖の合成が可能となっている。
 今回合成されたD-アラビノースとD-リキソースは、エネルギーにならず、細胞増殖時の解糖系代謝を抑える効果が認められ、D-エリスロースとD-トレオースは、細胞増殖を顕著に抑える効果が認められた。
(1)美味しくてカロリーオフ ⇒糖質制限、ダイエット、糖尿病治療時の甘味料 (2) O-157等の病原性微生物から食品を守ったり、がん予防食品 等の機能性食品としても期待できる。
 さらに将来的にはキノコ栽培廃培地からD-グルコースを得る「長野県の地域バイオマス」の課題解決との連携も視野に入れている。

図