再生医療分野、先進バイオ・メディカル分野の研究開発の進歩は著しい。これらの分野の研究開発を支える細胞培養や創薬試験において、細胞を扱った精密な定量分注作業は必須なものとなる。また、この分注作業においては、細胞の損傷をできる限り抑える必要がある。本新技術開発はこうした背景において、「ミッドプレスポンプ」をコアテクノロジーの中心に据え、分注のためのポンピングにおいて細胞に対するダメージを最小限に抑え、精密な定量分注を行う新規な分注装置開発を目指すものである。
本新技術開発のコアテクノロジーとなる「ミッドプレスポンプ」は、偏心ローターによりチューブをしごくことによってポンピングを行う「リングポンプ」を応用することによって、チューブの圧閉点においてもチューブに隙間を設けることによって、細胞に優しいポンピング動作を可能とするものである(図1)。さらに、定容量の分注を行う専用ケースを含む接液部のディスポーザブル化を実現する構造を持つ特徴を有する(図2)。これらのコアテクノロジーを構成する上で、(1)隙間の最適調整機構、(2)呼び水の自動化機構、(3)定容量分注ケースおよび分注方法の考案、(4)接液部のディスポーザブル化を実現する上で必要となるチューブ交換方式、などの一連の開発を進める。
本新技術開発によって、細胞の損傷が抑えられるという最大のメリットを有し、定容量分注の高精度化と高速化を実現し、作業性を向上させた新規な分注装置が実現されることになる。本装置により、再生医療分野の研究開発や医療に携わる大学や医療機関のニーズに応え、当該分野の進歩が加速されるとともに、装置の低コスト化により、先進バイオ・メディカル分野のベンチャー育成や産業発展への貢献も期待される。
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