アフリカの半乾燥地帯に住むネムリユスリカという生物は乾燥状態でも長期生存し、高温や極低温に耐え、放射線や宇宙線への耐性をもつ。その高いストレス耐性の一因はネムリユスリカが持つLEAタンパク質の効果であることが報告されている。このタンパク質は高い保水性、抗酸化作用、タンパク質の安定化機能、抗凝集作用などの特性を持つことが明らかにされている。
本技術開発は、ネムリユスリカLEAタンパク質の機能を見出し、また遺伝子組換えカイコ作出方法を開発した国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の研究成果ならびに保有する特許と、技術開発者が持つカイコを用いたタンパク質医薬品の製造技術を組み合わせたオンリーワンの技術「LEAタンパク質の大量合成系の確立」を目指すものである。
この技術を利用し製造するLEAタンパク質は、大腸菌や培養細胞による場合と異なり、エンドトキシン(内毒素)のリスクがなく、安全性が高い。また、砂漠でも宇宙でも生きながらえるというネムリユスリカのストーリー性はLEAタンパク質に魅力を与え、その商品性を高めると期待されることから化粧品の素材として魅力的である。その他に医薬品の原料やタンパク質の安定化剤など様々な用途が期待される。
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