植物研究助成

植物研究助成 25-18

高度な栽培管理を可能とするイチゴの3次元形状計測技術の開発

代表研究者 宮城県農業・園芸総合研究所
技師 高橋 正明

背景

 宮城県のイチゴ生産は東日本大震災により一変し、被災地域のイチゴ栽培施設の団地化、施設や品種の統一化も進んでいる。また、生産効率を高めるため、施設内の環境計測に注目が集まり、環境計測機器の導入が進んでいる。一方で、イチゴは栄養生長と生殖生長のコントロールのために温度・肥培管理、電照がなされているが、これらの制御は生産者が植物体を見た際の感覚的なものや週単位で行う生育調査に頼っている。そのため、経験の少ない生産者でも安定的に高度な生産管理を行うためには、植物体の生育情報を、連続的に非破壊でモニタリングできる技術が必要となる。しかし、従来の生育調査は労力的に週単位の調査が限度で、葉面積計のような装置は高価で測定範囲が狭いために生産現場での利用は不向きである。

目的

 生産現場に導入可能で安価な3次元センシング機器により、栽培管理に必要な草高、葉面積等のイチゴの生育情報を連続的に取得する。また、現地大規模園芸施設に機器を複数設置し、イチゴの生育不均衡を検出し、栽培管理を見直す材料とする。これらデータを用い、安定的に高度な栽培管理を可能とする3次元形状計測技術を開発する。

方法

 当研究所内施設で、イチゴの3次元形状計測技術による栽培管理技術を開発する。植物体の情報取得のため、Kinectセンサを用いる。センサは植物群落上部に設置し、栽培期間を通して連続的に生育情報を入手する。実際の生育調査データと比較し、センサから得られる草高、葉面積のデータが、イチゴの栽培管理の判断に利用可能かどうか検証する。また、植物体の生体分析のデータと生育との関連性を調査する。
 宮城県山元町の大規模園芸施設内で、センサをほ場内に複数台設置し、各エリアの生育情報を得て、ほ場内の植物体の生育不均衡を検出する。各エリアの環境情報や視覚情報とも照合し、センサからの情報が栽培管理や環境制御に応用できるか検討する。

期待される成果

 これまで植物体の生育情報は、生産者の視覚や週単位の生育情報から得てきたが、3次元センシング機器を用いることで、連続的にリアルタイムに生育情報が得られ、大規模園芸施設における生育不均衡も是正できる。そして、それら情報を基にした栽培管理により、不慣れな生産者でも安定的に高度な栽培管理が容易となり、高収量・高収益を達成できる。宮城県のイチゴ生産団地は、施設等が共通化され、環境計測を通した生産者間の交流も既に盛んなため、センサによる植物体生育情報のデータ化が可能となれば、150軒の生産者を対象に本技術の迅速な普及が期待できる。