市村アイデア賞

科学技術館 館長賞

温度による音速の変化を利用した遅延ホース式分布型温度感知器

受賞者 市毛 貴大
学校・クラブ 千葉県 千葉市立千城台西中学校1年

図

【このアイデアを思いついたヒント】

自由研究で音の伝わり方について調べていたら、音速は温度で変化することを知りました。この性質を使えば、温度センサーを作ることができるのではないかと思いました。
音速を測るには離れた場所で音を出さなくてはなりませんが、小さいころホースを使って糸電話をしたことから、ホースに音を通すことで離れなくても測ることができると思いました。
音速の変化を検出するには、穴を開けた円盤を回転させホース入口と出口の音を遮断し、出口での音の有無で判断できると思いました。これは扇風機の回転する羽根を見ていて思いつきました。

【上の図の説明】

図(1) 音源から出た発振音は、円盤で音が遮断され、遅延ホースには音が通りません。
図(2) 円盤が回転し、穴が遅延ホース入口の位置に来ると、音が遅延ホースに送られます。
図(3) さらに回転し、また音が遮断されますが、すでに遅延ホースの中に入った音は進んでいきます。
図(4) さらに回転し、穴が遅延ホース出口の位置に来た時、遅延ホースの中を進んで来た音が遅延ホース出口を出るタイミングが合うと、音が通過してホーンから音が聞こえます。([設定温度] = [気温]の時)
図(5) (4)の時から気温が変わると、音速が変わるので、ホース出口の音と円盤の穴のタイミングが合わなくなり音が通過しなくなります。
図A 温度設定レバーは、円盤の軸を中心に動き、同時に 図の位置が動きます。そのため円盤の回転が一定でも図が開いてから図が開くまでの時間を変えることができます。その時間と遅延ホース内を音が伝わる速さが同じ場合にホーンから音が出ます。音速は温度で変化するので、温度に応じた温度設定レバーの位置でホーンから音が聞こえてきます。

【審査委員評】

円盤に設けた穴により音を短く切るアイデア、ホースの中に音を閉じ込め曲がったホースでも音を伝達する仕組み、そして、回転する円盤の穴を音が通過することで、ホースの中を音が通過する時間を測るしかけなど、複数の発明を組み合わせて、普通考えられないような高い速度で伝わる音の速さをうまく測っていますね。また、通過する穴の位置を回転させる事で、角度として音の速度変化を測れる仕組みにも感心しました。日頃の理科の勉強があちこちに活かされているなと思います。是非、このアイデアを膨らませて、色々なものの速さを測るアイデアにもチャレンジしてみてください。