受賞団体訪問
“自主自律 豊かな心で たくましく”で、 育成するのは主体的学習者 |
第44回(平成25年度) 努力団体賞 岡山大学教育学部附属中学校 |
全校生徒を代表してアイデア創出の過程や将来の夢を語ってくれた 個人賞入賞の6人と、後列左が津島副校長、右が小倉教頭 |
附属中の授業の根幹は“考える”こと 入試のための勉強はしません |
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第44回市村アイデア賞は、昨年を大きく上回る263団体、25,547人(25,587件)の応募がありました。今回訪問したのは全校生徒の95%に当たる564名が応募し、努力団体賞受賞と共に6名が個人賞で入賞した岡山大学教育学部附属中学校(田中智生校長のもと教職員42名、生徒592名;以下附属中)です。 昭和22年開校の岡山師範学校男子部附属中、岡山青年師範学校附属中が、昭和24年設立の岡山大学に包括されスタートしたのが現在の附属中。周辺200b圏内に3000人以上が通う幼稚園、小・中学校、高校がある文教地区で、岡山市中区東山に立地します。この地区で形成する岡山大学教育学部の附属学校園では幼・小・中12年間を、「自主自律 豊かな心で たくましく」の一貫した教育理念のもと、自らの意志と判断で責任ある行動をとると共に、豊かな感性を持ち、自らの夢の実現に向け工夫を重ね、意欲的に取り組む人間育成を目標としています。 「主体的学習者、つまり自分で学び続ける人間を育てたい。附属中の授業の根幹は考えること。入試のための勉強はしません。覚えるドリル学習は家でやりましょう。だから家庭学習しないと点数は上がりませんよ」と言っています(津島正治副校長)。
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理科の実験は、生徒同士が活発に語り合わないと始まらない |
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教育理念実現に向け附属中では、昭和43年の「どのようにして学習指導の効果を高めるか」に始まり、「強い意志を持ち、主体的に行動する心豊かな生徒の育成」等、授業改善のテーマを設定した研究を進めています。平成23年からの研究テーマは「考える力を育てることばの教育」。"ことば" とは、言語と非言語を含めて生徒が言語活動で使うすべての事象ととらえ、そのことばを豊かに活用することで"考える力"が育つ授業を全教科で展開しています。例えば理科では、ことばを「モデル」、考える力を「科学的な思考力」ととらえ、モデルを具体操作しながら言語活動を充実させ、生徒自らが仮説を立て観察・実験し、その結果を検証しながらさらに考察を重ね、課題の解決を行うという内容で行われます。「理科の実験といえば、普通その方法も道具も決まっていて、一定の手順で行われますが、当校ではグループごとに自由な発想で実験を計画するところから始めます。だから生徒同士がモデルについてまず活発に語り合わないと始まりません」と、元理科主任の小倉恭彦教頭。 そして、校内のあちこちで目につくのが「自主レポート」。これは全教科にわたり、生徒自身の関心事や課題について自主的に調べた結果を貼り出したものです。「今はインターネット等で簡単に調べることもできるが、それよりも実経験。そこで出会うもの一つひとつから感触を得、においを嗅ごう」。つまり五感を使った知的好奇心喚起こそ次のステップにつながると津島副校長は言います。
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市村アイデア賞応募も自主自律学習の広がりに積極的に活用 |
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附属中はいわば市村アイデア賞参加の常連校で、ここ20年の間でも団体賞あるいは個人賞で数多くの入賞を果たしています。6月下旬に全生徒の応募用紙下書きを回収し理科担当教諭が個別に助言。夏休みにアイデアのまとめや作品作りを行います。その際も大切にしているのが自主自律の取り組み。「基本的なことは自分でしなさいと、テーマの見つけ方等にヒントを与えるようなことは敢えてしていません。 また教科の中だけで学習が終ってはいけない。学び考えたことが広がって、日常に活かされていくのが学習であり、点数アップの教育だけでは生徒のそうした視点が広がりません。市村アイデア賞応募のシステムは、その視点づくりに大いに役立っており、積極的に活用しています」(小倉教頭)。 みなさん楽しく取り組んだという、今回個人賞を獲得したアイデアや作品をみると、何気ない日常の小物に対し、まったく異なったアプローチで新しい形態を生んだもの、アイデアを形にしながらより機能性を求めたもの、機能だけでなく環境を考慮したもの等々、それぞれの視点と個性が光っています。 |
社会との関わり意識も強めつつ高まる夢の実現への意欲 |
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こうした学校生活を通じ、「自主自律 豊かな心で たくましく」育ちつつある生徒たち。社会との関わりも少しずつ強まる中で今、自らの夢の実現への取り組みにどんな意欲を持っているのでしょうか。最後に、全校生徒を代表し、6名の個人賞受賞者のみなさんに聞きました。
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