受賞団体訪問
身近な誰かを喜ばせる、その発想力が生徒を育む |
第49回(平成30年度)努力団体賞 愛媛県久万高原町立 美川中学校 |
朝日中高生新聞賞受賞者と、正岡洋介校長(右から3人目)、日野省吾教頭(右端)、 理科主任の長山尚輝講師(左端)。
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少人数校だからこその自立と協同の姿勢 |
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第49回市村アイデア賞では合計16の学校、団体が賞に選出されました。中でも全校生徒35名という小規模でありながら、応募3年目で努力団体賞と朝日中高生新聞賞の入賞を果たしたのが愛媛県久万高原町立美川中学校(以下、美川中)です。 美川中では、その校区の広さから自宅通学が困難な生徒が多く、全校生徒35名のうち25名が寮生活を送っています。「本校の寮生は、中学へ通うために寮生活を選択するしかなかった子どもたちです。まだ家庭や親が恋しい年齢ですが、それを乗り越えてみんな協力して生活しています。そのため、生徒たちには自立心と支え合う気持ちが育っていく環境になっています」と正岡校長。 そんな美川中では、今年度市村アイデア賞の入賞だけでなく、初挑戦の全国小・中学校リズムダンスふれあいコンクールでも全国大会出場という成績を残しています。ほかにも弁論や合唱などの活動も盛んですが、驚くことにこれらの活動はすべて全校生徒参加で行われています。「少人数ですから、全員参加でないと成立しないものも多いのです。生徒たちも、自分が頑張らないと何事も進まないことを良く理解していて、得意不得意かぎらずみんな積極的に参加しています。これが本校の特徴であり結果にもつながってきているのだと思います」と日野教頭は語ります。
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発想力を育てる理科教育 |
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「身近な問題を解決するアイデアを形にするというこの賞は、理科研究の入口として生徒のすそ野を広げるよい機会だと思いました」と、日野教頭は市村アイデア賞への応募のきっかけを語ります。最初の2年間は、アイデアをなかなか形にできない生徒が多かったため、今年度は「自分たちで作れるもので、きちんと形にする」「他の人が見て理解できるものにする」という目標を立てたそうです。身近な人の生活を改善するアイデアを、自分のできる範囲で誰にでも伝わる形にする。こうした明確な目的と着地点の設定により、生徒の応募用紙の完成度があがり100%近い応募となりました。 「理科だけに限りませんが、常にいろいろなことに興味を持ってアンテナを張ることで、何かを改善していくアイデアが出るのだと思います。やはり人間は発想力が一番重要です。大げさですが『発想力を育てる』が本校の理科教育と言えます。今回の入賞もその成果だと思っています」と正岡校長。
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