市村産業賞

第41回 市村産業賞 功績賞 -02

アラウンドビューモニターの開発

技術開発者

日産自動車株式会社 IT&ITS開発部 ITS先行・製品開発グループ
金岡 晃廣

技術開発者

同 社 同 部 同グループ
高野 照久

技術開発者

同 社 同 部 同グループ
菅原 大輔

推  薦 社団法人 日本自動車工業会

開発業績の概要

 近年,ドライバーの視界補助を目的とした車載カメラシステムが普及してきている。受賞企業では、後退時に車両後方を映すリヤビューモニターや、幅寄せや縦列駐車時の確認用として助手席前輪付近を映すサイドブラインドモニターを開発・販売し、好評を得てきた。本技術では、さらに従来の発想では思いつかない視点変換の技術を導入し、究極の駐車アシストカメラシステムであるアラウンドビューモニターを開発した。
 本システムを実現するにあたり、4個の魚眼レンズ付カメラを、フロントグリル、両サイドミラー下部、バックドアに配置した(図1)。イメージセンサには、視点変換に伴う画質低下を防止し、スミヤが発生しない130万画素CMOSセンサを採用している。これらの映像を、カメラコントローラで視点変換・合成をリアルタイムに行うための専用ASICを開発し、世界初となる上空から自車両を見下ろしたような一枚の映像であるトップビューを提供することに成功した(図2)。
 トップビューは、気になる死角が同時確認できるだけでなく、縦列駐車の複雑なコース取りが分かり易くなり学習効果も得られる画期的なビューである。トップビューのみでなく、リヤビューもしくはフロントビューを同時表示することで、車両周囲の状況に加え、進行方向の状況を同時に確認することができるほか、サイドブラインド画面を用意し(図3)、助手席側コーナーの確認を容易にしている。さらに、最も擦りやすい車両4隅にソナーをレイアウトし(図1)、カメラの長所である「目で見て確認できる」と、ソナーの長所である「音で知らせてくれる」を組み合わせることで、利便性のみならず、より安心感の高い使い易いシステムを実現した。
 顧客ニーズ調査から生まれた本技術は、「どのような駐車でも簡単にできる画期的なシステムである」といった驚きに加え、真に役に立つ技術であるとの高い評価を得るとともに、運転安全性向上および安心・豊かなカーライフに貢献している。

図1 カメラ&カメラ補助ソナーのレイアウト
図1 カメラ&カメラ補助ソナーのレイアウト
図2 トップビュー+リヤビュー画面
図2 トップビュー+リヤビュー画面
図3 サイドブラインド+リヤビュー画面
図3 サイドブラインド+リヤビュー画面