市村産業賞

第41回 市村産業賞 貢献賞 -01

間欠送り兼用型フォーム印刷機の開発

技術開発者

株式会社 ミヤコシ 製造統括本部
本部長 仲 正裕

開発業績の概要

 バブル崩壊後、印刷業界は大きく変化し、大量生産・大量消費印刷と、多品種少量生産・パーソナル情報印刷という2つの課題に対して新たな生産方式が切望されていた。多品種小ロット・大ロットいずれの印刷も低コストでできるバリアブルフォーム印刷方式とデジタル印刷方式である。
 本技術開発では、間欠印刷交換胴による任意サイズ・小ロット印刷と、連続印刷交換胴による高速・大ロット印刷が選択できる間欠送り兼用型のバリアブルフォーム印刷機を実用化した(写真1)。大径部と小径部を有する印刷胴を用いた間欠印刷は、用紙のステップバック動作(図1)により、胴交換なしで多種(7〜15インチ)の天地サイズ印刷に対応する。また、印刷ユニットと紙送り装置にセクショナルドライブ方式を採用し、立ち上がり紙ロスを低減するとともに、紙送り装置のS字ロール+エアー吸引式ダンサーにより、最小0.1秒での正・逆紙送り(間欠)及び印刷精度±0.1mm以内を達成し、間欠印刷時の高速稼働と印刷品質向上を実現した(図2)。
 本印刷機は、生産量に見合う連続・間欠紙送りの印刷方式に切り替えることで、間欠送りによる小ロット無在庫印刷、連続印刷による高速大ロット印刷、いずれにも対応でき、かつ交換胴数削減、紙ロス低減により経済性、省資源面からも優れている。さらに、フィルム印刷にも対応し、溶剤インクを使用しないので、グラビア印刷時のVOC削減が急務の包装業界にも貢献するものである。

写真1 間欠送り兼用型フォーム印刷機
写真1 間欠送り兼用型フォーム印刷機
図1 間欠(ステップバック)印刷の概要
図1 間欠(ステップバック)印刷の概要
図2 印刷機全体構成図
図2 印刷機全体構成図