市村産業賞

第42回 市村産業賞 貢献賞 -01

受配電用ドライエア絶縁開閉装置シリーズ化によるSF6ガス撤廃

技術開発者

三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 電機システム技術部
次長 竹内 敏惠

技術開発者

同社 受配電システム製作所 開閉器製造部 C-GIS開発課
課長 有岡 正博

推  薦 社団法人 日本電機工業会

開発業績の概要

 大規模工場やプラントなどで発電所の電気を安全かつ安定に供給するための重要なインフラ設備である受配電設備に用いられるスイッチギヤ(開閉装置)では、絶縁ガスとして温室効果ガスであるSF6(六フッ化硫黄)ガスが用いられている。SF6の地球温暖化係数はCO2の23,900倍であることから、地球温暖化抑制のためにSF6ガス使用量の削減が強く求められている。
 本技術開発では、スイッチギヤで使用される温室効果ガスを撤廃するため、スイッチギヤに適用するドライエア(乾燥空気、地球温暖化係数ゼロ)絶縁技術を完成した。また、スイッチギヤの省エネ、メンテナンス省力化を目的として、高い信頼性を持つ電磁操作装置技術、さらには、電磁操作装置特有の磁気現象を利用することで装置の自己診断を行う独自のCBM(Condition Based Maintenance)機能の開発も行なった。その結果、固体絶縁とドライエア絶縁を組み合わせた高度な複合絶縁技術により、SF6ガスの約1/3の絶縁性能しかない低ガス圧力ドライエアを用いても従来製品と同等の製品サイズを達成した。また電磁操作装置技術により遮断器操作機構部から消耗部品を廃止し、変位センサなどの外部センサを用いずに装置の自己診断を行うCBM技術を確立することで機器の信頼性向上とメンテナンス省力化を実現した。
 受配電設備に用いられる7.2kVから72kVまでの全定格クラスの受配電設備用スイッチギヤ(開閉装置)に本開発技術を搭載し、スイッチギヤ製品のシリーズ化を完成した。本技術は、温室効果ガスを全く使用しないため、地球温暖化の抑制に貢献するとともに、ドライエア絶縁スイッチギヤの小型化、省エネ、省メンテナンス化を可能にすることから、近未来の高度電力化社会の安心・安全を支える重要な基盤技術として期待される。

図1 ドライエア絶縁スイッチギヤ製品シリーズ
図1 ドライエア絶縁スイッチギヤ製品シリーズ
図2  24kV電磁操作真空遮断器 内部概略構造
図2 24kV電磁操作真空遮断器 内部概略構造