市村産業賞

第43回 市村産業賞 貢献賞 -01

世界初、ポスト新長期排出ガス規制対応ディーゼルエンジンの開発

技術開発者

日産自動車株式会社 パワートレイン開発本部
主管 白河  暁

技術開発者

同社 同本部
パワートレイン主管 斎藤 勝夫

技術開発者

同社 同本部
パワートレイン・プログラム・ダイレクター 木村 修二

推  薦 一般社団法人日本自動車工業会

開発業績の概要

 乗用車用ディーゼルエンジンは、高トルクによる力強い加速、低燃費によるエネルギー削減及びCO2削減という大きなメリットを持つ。しかし、ディーゼル燃焼による排出ガスは、ガソリンエンジンで開発された触媒技術を使うことが出来ず、特に窒素酸化物(NOx)の処理が極めて困難で、排出ガスの清浄化が大きな課題であった。
 受賞企業では80年代後半よりこの課題に対して取組みを開始し、特に、低NOx燃焼技術(低温予混合燃焼)、NOxを大幅に低減可能とするディーゼル用リーンNOxトラップ(LNT)触媒技術および前記触媒を高効率で作動させる高度エンジン制御技術の蓄積を図ってきた。 その燃焼技術、触媒技術、およびこれらを最適にコントロールする制御技術を組みあわせたLNTシステムにより、世界で初めて国内ポスト新長期規制を達成(欧州排出ガス規制Euro4からNOxを約70%削減)し、いわゆる“クリーンディーゼルエンジン”を誕生させた。“クリーンディーゼルエンジン”はガソリンエンジンに比べ、30%以上低燃費でCO2排出量を20%以上削減している。
 本開発技術により,排出ガス規制施行の1年前となる平成20年9月に本技術を搭載したSUV車の販売を開始した。また、欧州においてもEURO5対応技術として他社に先駆けて採用した。平成22年8月時点で上記SUV車のディーゼル比率は35%を超え、本技術は実用性の高い環境技術として市場に受け入れられている。さらに,他社も追従の動きを見せていることから、新車販売が途絶えていたディーゼル乗用車の日本市場への復活と、市場におけるCO2削減に大きく貢献した。

図1
図2