市村産業賞

第47回 市村産業賞 功績賞 -01

ラミネート法2層フレキシブル銅張積層板用材料の開発

技術開発者 株式会社 カネカ R&D企画部
企画グループリーダー 古谷 浩行
技術開発者 同社 取締役副社長 永野 広作
技術開発者 同社 電材事業部
技術統括部長 辻 宏之
推  薦 一般社団法人 日本化学工業会

開発業績の概要

 近年、携帯電話等の小型携帯型電子機器の高性能化・小型化・軽量化・薄型化要求と環境対応型の鉛フリー半田の普及に伴い、フレキシブルプリント配線板(FPC)に対して部品実装時の半田リフロー温度の高温化や銅配線の細線化・高密度化、配線板の薄膜化要求が高まってきた。これに伴い、従来銅箔の接着剤として一般的に用いられていたエポキシ系接着材を使用した3層フレキシブル銅張積層板では性能が満足できず、高耐熱型の熱可塑性ポリイミドを接着材に用いたオールポリイミド2層フレキシブル銅張積層板需要が急激に拡大した。本業績は当該市場に対して開発した耐熱性、寸法安定性に優れ、コストパーフォーマンスが高いラミネート法2層フレキシブル銅張積層板用材料に関するものである。
 本技術は、第一に、層構成のシミュレーション設計技術、第二に、高い半田耐熱性と、銅箔への密着性のトレードオフの特性を両立する熱可塑性ポリイミド融着層の分子設計を、熱特性のメカニズム解析技術により実現したこと。第三に、超高温のラミネート技術とラミネート装置を開発し、かつ顧客に開放したこと、第四に、圧倒的に高い生産性を実現し市場拡大を狙った3層同時製膜技術の開発、を特徴とする。
 両面2層銅張積層板の主要用途はスマートフォン及びタブレットPC等携帯端末機器向けである。その分野に貢献している業績対象材料は、今後も当該分野の技術発展に寄与する研究開発を継続する。本業績に関わる他のグレードの産業上の波及効果として、2013年度ノーベル物理学賞に寄与し、基礎素粒子科学の偉大な進歩に貢献したことが特筆出来る。 


図1


図2