市村産業賞

第48回 市村産業賞 本賞 -01

トヨタフューエルセシステムTFCS開発

事業経営者 トヨタ自動車株式会社
代表取締役社長 豊田 章男
技術開発者 同社 FC技術・開発部
室長 能登 博則
技術開発者 同社 同部
副室長 高山 干城
技術開発者 同社 同部
室長 近藤 政彰
推  薦 一般社団法人 日本自動車工業会

開発業績の概要

 大気汚染やCO2による地球温暖化などの環境問題、石油枯渇などのエネルギー問題への対応として水素を燃料とする燃料電池車(FCV)をサステイナブル社会に向けた究極のエコカーと位置付け、1992年から開発している。しかし、コストが高いなどの理由により、他社含め 実証試験段階に留まっていた。そこでFCV普及への最大の課題である低コスト化を「小型高性能化による高価な材料使用量低減」「部品統廃合」「量産部品の流用」と言う3つのアプローチにより実現した。
 世界初の3D ファインメッシュ流路による流路の革新(図1)や電極の革新による高電流密度化、セルの薄型化、スタック締結構造のコンパクト化により世界トップレベルの3.1kW/Lを実現した。また、高圧水素タンクも、フィラメントワインディングの革新(図2)、口金改良により、世界トップレベルの5.7wt.%を実現している。水素循環システムとその制御に加え、セル構造革新による生成水の内部循環促進により加湿器を廃止し、世界初の外部加湿レスシステムを実現した(図3)。さらには、新たに開発した 小型・高効率の大容量FC昇圧コンバータにより、量産HVモーターインバーターの流用と、FCスタックのセル数削減を実現した。
 これら技術などにより、従来に比べ飛躍的に低コスト化したトヨタフューエルセルシステム(TFCS)を開発。セダンタイプのFCV「MIRAI」に搭載し(図4)、世界に先駆けて市販化した。

図1


図2