ビジネスモデルの革新やハードウェア性能向上により、データ処理量は増加の一途をたどっている。証券取引や銀行といった社会活動を支えるオンライン基幹システムにおいても大量データの超高速・超高信頼処理を実現するシステムが求められていた。
インメモリ技術の採用と、ネットワーク制御、データ管理、サーバー間調停制御の3つの要素技術の統合により、高速性と信頼性を両立する新技術を開発し、オンライン基幹システムの基盤技術として実用化に成功した。本技術には3つの特長がある。第一に汎用プロトコルを超える高速化と単一障害時停止時間ゼロの高信頼な独自ネットワークプロトコル開発による階層通信制御技術、第二にDRAM(Dynamic Random Access Memory)を用いた高速なデータアクセスとデータ不揮発化による高い信頼性を両立するサーバー間高速データ同期技術、第三に複数の異常を統合的に制御する異常検知機構、自律判断機構、および、切替え機構を開発し、専用サーバーを用いずに業務停止ゼロの信頼性を実現する統合調停技術である。
継続的な純国産テクノロジーの提供により、金融を中心に重要な社会システム基盤を支えている。代表的事例として、東京証券取引所株式売買システム arrowhead で採用され、2010年に稼働、2015年にさらなる高速化・高信頼化を果たし、2010年稼働以降の全面取引停止ゼロ、売買代金2.5兆円/日以上、システム最大2.7億件/日の取引件数を達成するなど、世界トップレベルの高速・高信頼システムの安定稼働に貢献している。本技術は、新たに海外市場へのシステム展開や本技術 IoT プラットフォームへの適用検討が進んできている。今後は、世界の基幹システムを支える基盤技術として業種を超えてグローバルに普及することが期待されている。
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