1.開発の背景
当社は人とテクノロジーが共生する未来社会Society5.0/5.1実現のため、サイバニクスによる社会変革・産業変革を進め、社会が直面する課題解決を実現するサイバニクス産業の創出を行っている。
その中で、少子超高齢化社会における「重介護ゼロ社会」実現に向け、脳卒中・脊髄損傷・神経筋難病疾患等による運動機能低下を治療するため、サイバニクス技術を応用した生体電位駆動式装着型の新医療機器(図1)を開発した。
2.開発技術の概要
本品は、身体に装着することによって装着者の身体運動を支援する機器である。装着者が体を動かそうとしたときに発生する生体電位信号を皮膚表面より非侵襲に計測し、装着者の姿勢情報や荷重情報と合わせて、支援動作を決定し、状況に応じて各関節に配置されたパワーユニットを駆動させることで装着者の動作をアシストする。これにより【脳→脊髄→運動神経→筋骨格系→装置】【装置→筋骨格系→感覚神経→脊髄→脳】のループを構成してiBF(interactive Bio Feedback )(図2)を行い、脳・神経・筋系の適応・再学習を促進することで、身体の機能再生治療を行う。
3.開発技術の特徴と効果
臨床試験では既存の治療方法に比べ高い効果が確認され、日欧米で新しい医療機器として承認された。現在も各国での適用範囲拡大のための治験実施中である。本品による新しい機能再生治療が普及することで、「重介護ゼロ社会」実現へ寄与し、患者自身のQOL改善のみにとどまらず、社会保障費・医療費の抑制に貢献する。
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