市村産業賞

第53回 市村産業賞 貢献賞 -04

スマートフォン用カメラの進化を支える高精度三次元測定機の開発

技術開発者 パナソニックプロダクションエンジニアリング株式会社
プロダクションテクノロジーセンター 標準機事業推進部
係長 半田 宏治
技術開発者 同社 同センター 同部
主任技師 田中 仁
技術開発者 同社 同センター 同部
舟橋 隆憲

開発業績の概要

1. 開発の背景
 近年、スマートフォン用カメラの多画素化や多眼化が進み、レンズの小型・高性能化を実現するため、ナノオーダーの厳しい製造公差が要求されており、レンズ及び、レンズユニットの三次元形状をナノオーダーで測定可能な測定機が強く望まれていた。

2. 開発技術の概要
 これらの課題を克服するため、受賞者らは以下に示すキー技術を開発した。

  1) 測定物の垂直な面において±50nm以下の世界最高精度の測定を実現した側面測定技術、及び側面測定技術と従来の上面測定技術を融合し、レンズユニット全体形状を±100nm以下の精度で評価する三次元形状評価技術
  2) レンズ等の面形状を従来比1/4(±10nm以下)で高精度測定、および75度までの高傾斜部の測定を実現した新上面測定技術

 以上により、市場のニーズを満たす新たな超高精度三次元測定機の開発・実用化を行った。

3. 開発技術の特徴と効果
 レンズ上面や側面、レンズユニットのレンズ嵌合面等の三次元形状を高精度に測定可能としたことで、高精度なレンズ性能評価に加え、レンズユニット全体の性能評価を可能にした。この結果、昨今のスマホ用カメラの小型化、高解像度化の実現に大きな貢献を果たした。また、現在、本開発技術を搭載した超高精度三次元測定機(UA3P)のデータは、レンズ業界標準データとして取り扱われており、今後もスマホ用レンズ以外の新規分野(AR/VRや自動運転用車載カメラなど)の発展に寄与すると期待されている。

図1

図2