市村産業賞

第54回 市村産業賞 貢献賞 -04

電動車向け水素封止カプセル型直流高容量リレーの開発

技術開発者 パナソニック株式会社 インダストリー社 メカトロニクス事業部
リレーBU EVリレー技術部 主幹 尾ア 良介
技術開発者 同株式会社 同社 同事業部
同BU 同技術部 課長 西村 司
技術開発者 同株式会社 同社 同事業部
同BU 同技術部 主任技師 坂井 智史

開発業績の概要

1.開発の背景
 パナソニックは世界初の水素封止カプセル接点技術を開発し、1997年にハイブリッド自動車の高電圧バッテリ制御用途として直流高容量リレー「EVリレー」を実用化した。以降、電動車における高電圧システム進化が著しく、Ni-MH電池からLi-ion電池への電池進化、HEV(ハイブリッド車)からBEV(電気自動車)へのシステム進化に対し、電動車の高電圧安全を実現する直流高容量リレーが強く求められていた。

2.開発技術の概要
 電池の性能向上により直流高容量リレーに流れる電流は増加する一方であった。車載に適した小型サイズで電流増加に対する諸課題を克服するため、以下の技術開発を行った。

  1) 従来同等サイズにおいて、Li-ion電池短絡時の過大電流(6000A)に対しリレーの接点開離抑制を実現した高短絡耐量技術、および車両走行時・減速時ともに高い電流遮断性能(±1000A/400VDC)を実現した順逆同等遮断技術
  2) 高出力の小型有極電磁石により通電時の接点発熱を抑制し、BEVに必要な大電流連続通電(250A)を業界最小サイズで実現した小型高通電技術


3.開発技術の特徴と効果
 本技術を適用した「EVリレー」は、大電流通電、高容量遮断、高短絡耐量などリレーに求められる性能を小サイズで実現しており、HEV・PHEV・BEVにグローバルで幅広く採用されている。また、本技術は車載用途に留まらず、直流高電圧・大電流制御が必要とされるBEVの急速充電器や太陽光発電・蓄電設備などにも適しており、直流制御用途への幅広い展開が期待される。


図1

図2