市村産業賞

第56回 市村産業賞 貢献賞 -02

画像・映像利活用のための類似画像検索システム

技術開発者 株式会社 日立製作所 研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
先端 AI イノベーションセンタ 主管研究長 影広 達彦
技術開発者 同社 同グループ 同本部
同センタ 知能ビジョン研究部 廣池 敦
技術開発者 同社 同グループ 同本部
同センタ 同部 主任研究員 渡邉 裕樹

開発業績の概要

1.開発の背景
 近年の画像・映像の配信・蓄積・管理の大規模化により、様々な業務分野において、その利活用が期待されている。例えば、映像監視の分野では、大量のカメラが撮像する映像の活用により、犯罪防止、迷子探し等の機能提供が想定される。

2.開発技術の概要
 日立は、1997年、画像から抽出された「画像特徴量ベクトル」に基づいて検索する「類似画像検索システム」の開発に着手し社会実装を進めた。近年は、深層学習技術の融合により、高度な特徴量ベクトルの構成が可能となり、多様な検索・解析ができるようになった。

3.開発技術の特徴と効果
 本システムは、画像・映像から情報抽出を行う特徴量抽出技術、特定の課題に最適化された特徴量を構成するための学習技術等の画像・映像認識技術と共に、それらの技術により取得された情報に基づく実ソリューションを実現するためのプラットフォーム技術を特徴とする。プラットフォーム技術の最大の特徴である高速ベクトル検索機能は、検索サーバ単体で1,000万件/秒、並列分散機能により100億件/秒の検索応答が可能である。高速検索のための独自の逐次型クラスタリング方式は、映像監視システム等で要求されるリアルタイムのデータ更新に適している。20,000フレーム/秒の映像解析に対応可能で、鉄道向けシステムでは2,000台の監視カメラを対象とした広域人物検索が実運用中である。本システムは、空港等の公共空間の映像監視、県警向け車両検索、 「画像意匠検索」 等の Webサービス、設計・製造業務向けソリューション等、幅広い分野で活用されている。


図1