1.開発の背景
モビリティーのカーボンニュートラル化のためには、(図1) のように各地域のエネルギー事情を考慮した多様な取組みが必要である。マツダでは、再生可能エネルギー発電が進んだ地域にはBEVやPHEV を優先的に導入し、まだ火力発電が残っている地域には内燃機関の効率改善とHEVのエネルギー回生による省エネルギー化を図り、将来的に普及が期待されている再生可能燃料の利活用を視野に入れたマルチソリューション戦略を策定している。その一つの有効な提案として、独自の大排気量コンセプトと燃焼の理想追求に拘った新世代3.3Lクリーンディーゼルエンジンを開発した。
2.開発技術の概要
新開発の3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンSKYACTIV-D 3.3では、独自の2段エッグシェイプ燃焼室で混合気を空間的に制御するDCPCI※燃焼(図2)と大排気量化によって、実用走行を十分に包括する負荷域にまで高効率でクリーンな予混合燃焼を拡大適用することで、トルクと出力の大幅な向上、乗用車エンジンで世界トップレベルの熱効率、および最新の排ガス規制に余裕を持って適合するクリーン排気を実現した。
※DCPCI:Distribution Controlled partially Premixed Compression Ignition
3.開発技術の特徴と効果
本技術を小型モータ(12kW)のマイルドハイブリッドおよび8速オートマチックトランスミッションと組み合わせることで、当社従来ディーゼルエンジン車比で約27%もの大幅な燃費改善を実現している。これにより、ライフサイクル24万kmにおけるCO2排出量は、従来比で台当たり約10トン削減でき、BEV同等の削減効果が期待できる(図3)。
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