市村地球環境産業賞

第56回 市村地球環境産業賞 貢献賞 -02

省エネ化・脱炭素化に資する高出力・多用途赤外線カーボンランプヒーター

技術開発者 メトロ電気工業株式会社
代表取締役社長 川合 誠治
技術開発者 同社
常務取締役 近藤 元博
技術開発者 同社 技術開発課
課長 倉田 征治
推  薦 一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター

開発業績の概要

1.開発の背景
 日本の部門別CO2排出量のうち約70%が産業・家庭・業務部門によるものである。自動車や食品など高温熱源を必要とする産業加熱工程では、石油やガスなどの燃焼式熱源が一般的である。この方法には熱損失やCO2排出、安全上の懸念等の課題が存在する。省エネ化及び脱炭素化は急務であり、電化が困難な高温熱源の代替や既存加熱を効率化する新たな熱源が望まれていた。このニーズに応えるため、高純度炭素繊維を利用した赤外線カーボンランプヒーター「オレンジヒート」を開発。幅広い分野の加熱に対応し、脱炭素社会の形成と産業競争力の強化、利便性向上に貢献している。

2.開発技術の概要
 オレンジヒートは放射率85%以上の超高純度炭素繊維を基材とした0.08〜0.60oの薄板を独自技術でフィラメントに加工し、石英ガラス管内に不活性ガスと共に封入した次世代の赤外線カーボンランプヒーターである。エネルギー密度を高めることにより最高温度2,000℃まで設計が可能。最高エネルギー密度は、一般的なランプヒーターの150kW/m2に対し、1,200kW/m2であることから従来到達できなかった熱領域の電化を可能にする。1秒以内の瞬時点灯・消灯が可能で応答性に優れ、緻密な温度制御ができるため省エネ性向上になる。放射による高効率加熱方式を構築し、この分野においてトップシェアを誇る。加えて、フィラメントの抵抗値は板厚と特許技術のスリット加工により、消費電力、発熱温度、発熱長、定格電圧が任意に調整する事ができ、更に、形状等の設計自由度も高いため、様々なニーズに応えることができ、これらの独自技術により幅広い分野で脱炭素化に貢献している。

3.開発技術の特徴と効果
 家庭用から宇宙開発まで幅広い分野の熱源として、省エネ化・脱炭素化が可能になる。
 加えて、品質向上、生産性の向上、操作性に優れた機能等の付帯効果により環境・社会・経済に貢献する。特に燃焼方式に代わる熱源として塗装、鋳造、鍛造プロセスへの導入が進んでいるほか宇宙開発関連、蓄電池、燃料電池等の先端製品、先端材料分野の熱源としても採用されている。

図1

図2

図2