市村学術賞

第54回 市村学術賞 貢献賞 -05

全方向駆動ロボット機構技術の研究開発とその応用展開

技術研究者 東北大学 大学院情報科学研究科、タフ・サイバーフィジカル
AI研究センター 兼任
准教授 多田隈 建二郎
推  薦 東北大学

研究業績の概要

 研究の背景:狭い場所でも稼働する移動体には、任意方向への推進を可能とする全方向移動機能が求められている。しかしながら、従来の技術では比較的大きな凹凸が存在する接触対象において、駆動力生成が著しく困難であった。
 研究技術の概要:受賞者は、機構全体を直径として設定するという単純な構成にもかかわらず、従来にはなかった著しく高い踏破性を原理的に実現させており、凹凸のある実環境での滑らかな移動・駆動を可能とする球状構造を基本的な技術核として取り組んだ。
 特徴と効果:高踏破性を有する機構である球状全方向車輪をはじめとして、円形断面クローラ機構、面状全方向クローラ機構へと、接触対象に対する接触状態の次元を「点・線・面」へと上げながら拡張的にテーマ展開を行ってきた。
 さらに、球状車輪の内側をくり抜いてプロペラガード 兼 着陸車輪とした飛行体の開発や、円形断面クローラ機構の先端の球体部での駆動する向きを外側から内側へと逆向きにすることにより、様々な対象物を掴むことが可能な包込み式柔軟袋状グリッパ機構にまで研究内容を発展させた。

図1

図1