近年、電気自動車の急速な普及が進んでおり、高容量ながら軽量でコンパクトな二次電池であるリチウムイオン電池が使われているが、1回の充電当たりの航続距離がガソリン車と比較して格段に見劣りしているのが現状である。これら電気自動車、ドローンやモバイル機器等の普及に伴う電池性能の向上の為に、より高容量の電池が求められている。本技術開発は高容量なリチウムイオン電池の開発に関するものである。 リチウムイオン電池の負極材料としてのSi 系活物質は、従来のリチウムイオン電池に使われている黒鉛系活物質に比べ5〜10倍の理論容量を有している。今まで課題となっていた充電と放電の繰り返しに伴うSi系活物質の劣化を克服する為に、特殊なポリイミドバインダを開発して、400サイクルを超える充放電が可能であることを確認した(図1)。本開発では、加えて予めポリイミドバインダ(DB)のコーティングを施したSi系活物質(SiO)・リチウムプレドープ・水系の溶液に分散したスラリーなどの工程検討を行い、高容量の円筒型電池製造技術の確立を目指す(図2)。 化学材料メーカである申請会社がコア技術(ポリイミド)を展開して、新材料の開発に加えてその使いこなしまで含めた電池の製造技術を確立することで、他の開発グループに先駆けて高容量リチウムイオン電池を実現できる可能性がある。またリチウムイオン電池メーカへの材料供給ビジネスモデルも視野に入れており、業界全体の開発促進の効果も期待でき、世の中に与えるインパクトは大きい。
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