家具、キッチン等内装に用いられる建材のデザインは鏡面性の高い(高意匠)塗装が好まれる。しかし、従来は職人の手作業による工程が主であり、コスト、耐久性に課題があった。また、当該職人の数は減少しており、安価な中国家具等の台頭により国内メーカーシェア減退が問題となっている(大川家具の出荷数がピーク時の1/4、業者数1200社から250社へ業界縮小)。
一方、国交省、経産省はじめ国が国内産業の復興としてリフォーム市場の拡大を推奨しており、建材の一層の低コスト化への要望が高い。
従来の手作業による建材の鏡面塗装が、基材に対し下塗り・乾燥・研磨の工程を30回程度繰り返す工法であるのに対し、本技術はフィルムに光硬化樹脂からなる塗料を一次塗布し、基材への貼り合せ、塗料の硬化、フィルム除去の工程を3回繰り返すだけで完成する。塗料は基材の凹凸を吸収し、フィルムの平滑面を転写して硬化されることにより鏡面性を獲得する。
3層構造の1層目は独自開発済みの吸湿性の高い塗料を使用することにより高耐久性を実現。本助成による実用化開発では塗料の温度・塗布量制御、フィルム搬送時の脈動低減により鏡面塗装の安定性を向上させる。
本技術は、工程数削減によりコスト従来比1/5、凹凸0.5μm以下の保持期間を10年以上(従来3か月)と試算している。また、大手建材メーカーと市場性を確認しており、業界縮小の社会課題に対し、シェア拡大により自社(50名)、地域(400名)の雇用創出を狙う。
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