建築現場では空調機・配管・配線・照明・天井などを固定するために天吊り金具を使用する工事が非常に多く、長尺のボルトにナットを回転させながら挿入して金具を挟み、もう1つのナットを回転させながら挿入するため大変な時間と労力を必要とする。そこで、回転させずに挿入できて緩まず、さらに簡単に取り外せるナットの開発が求められていた。
本技術は、図1に示す特殊スライドナットの開発に関するものであり、内部のナットがナットベース内で移動できる特殊構造により、回転させることなくボルトに挿入でき、締付けると緩まない(図2参照)。外すときは1回転逆転させて締結方向に小さな衝撃を与えると、回転させることなく取り外すことが可能である。さらに、ボルトに傷や潰れや曲りがあっても問題なく抜き差しできることも特筆すべき特徴である。
本開発のナットは、回転させることなく抜き差しできるため、現場作業の負担軽減や大幅な作業時間の短縮が期待される。特にくみ上げて一定期間後に解体するプレハブなどに用いた場合、作業時間の短縮に大変有効である。一般に、ボルトの曲がりやキズ、錆び付きなどは工事現場ではよく起こることであるが、そのようなボルトに対しても本ナットを用いれば抜き差し固定が問題なくできることは注目に値するメリットである。本ナットを有効に用いることにより、様々な作業現場の負担軽減や効率アップが期待される。
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