新型コロナウイルス感染症の蔓延により、ウイルス感染有無に対する遺伝子検査の重要性が
増している。しかし、現在主要な検査方法であるPCR検査はその熱サイクルから遺伝子増幅 に時間(約 90 分)を要し、大量処理、短時間化に課題がある。そこで等温単一サイクルであるLAMP法を連続、自動的に行えるシステムを開発し、検査の簡易化、高速化、自動化を狙う。
本技術は、2つの要素(1)ハイスループット処理のために、液体をチューブ内に流す連続フロー合成技術の応用、(2)自社特許かつ等温遺伝子増幅で実績のあるマイクロ波加熱技術から構成される。これまでバッチ処理で実施されてきた検査工程を、開発するシステムでは検体とオイルをチューブに交互に流すことで連続処理を可能とする(図1)。自社の強みであるマイクロ波加熱によりチューブを一様に加熱し、遺伝子増幅を促す。LAMP法に必要な加熱時間(約15分)はチューブ長で実現する(図2)。本システムでLAMP法を応用するメリットとして、遺伝子増幅時の指示薬により反応が目視可能のため、検出の自動化が可能となる。
本システムでは遺伝子検査の短時間化、自動化を狙えることから、検査の簡易化、低コスト化が期待され、大量検査のメリットに加え、罹患の不安による繰り返しの検査が可能となり、検査員のスキルや負荷の問題を低減できると考える。また、今後も出現するであろう新興ウイルス等感染症への対策は世界共通の課題であり、短期間での大量検査に貢献できると考えている。
*LAMP 法(Loop-Mediated Isotherml Amplification)
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