地球温暖化防止および水資源の確保という観点から、森林の保護は喫緊な課題となっている。特に、植物活性の指針であるWater Stressを評価するためには、水の吸収波長(1450nm)付近での反射率の計測が重要である。またCO2吸収という観点から森林と同程度に重要なのは、沿岸域の藻類の保護である。そのためには海水の吸収の影響を避けない400-600nm波長での反射率計測が重要となる。これら森林、藻類の広範囲の観測を行うために、ドローンに搭載可能な小型・軽量のスペクトルイメージャの実現を目指した開発を行う。
本開発技術の特徴は、図1に示すように、対物レンズで取得された地上対象物の像をファイバー束の端面に投影し、凸レンズを介してMEMSマイクロミラー上に照射し、反射光を再度凸レンズでファイバー束端面に結像する再回帰型光学系である。本光学系のファイバー束端面の中央部の1列(図中黄色部)を、分光器へ誘導することで観測部位の選択を行う。
本スキャン機構は、凸レンズを再帰的に使用するため、またMEMSで作成されるマイクロミラーとともに非常に小型であることから、軽量化が求められるドローン搭載に適している。
本開発により可視・赤外領域が一度に観測できる小型・軽量のシステムの実現が可能となる。これにより、総重量は同等波長域の他社品に対して1/3程度にでき、飛行時間を大幅に伸ばすことが可能となる。また従来の複数の分光器を用いないことで経時的に安定なスペクトル測定が可能となる。これら効果により、課題である森林や藻の生育変化の観察が容易となり、地球環 境保全に貢献することが期待される。
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