長期航海・長期間労働に加えて危険な作業があり、後継者が育ちにくく船員の高齢化が進ん
でいるマグロ延縄漁では、生産性向上とともに、貴重な新人船員の定着率向上のためにも、省力・省人化及び安全性の向上が求められている。本技術開発は、延縄漁で用いられる幹縄に枝縄および浮縄を装着する、スナップという金具の外し作業を自動化することを狙ったものである。
マグロ延縄漁では、全長150kmにも及ぶ幹縄の巻き上げ時(揚縄)に、浮きの付いた約300本の浮縄と、エサと針が付いた約3,000本の枝縄のスナップを順に幹縄から外していく。スナップは強い力で幹縄を噛み咥えているため、スナップ外し作業はケガをし易く習熟を要する。開発する装置は、幹縄の巻き上げと同時に上がってくるスナップを一旦保持する仕組みと、エアーシリンダ―・カム機構・回転機構によって保持したスナップを幹縄に正対させて噛みつきを緩めつつ押し出す仕組みとを組み合わせて、人のスナップ外しと同様の動作によってスナップを幹縄から外す。この装置を試験用幹縄巻き上げ装置と組み合わせて開発し、揚縄時のスナップ外しを自動化する。
本装置によって、船員が他の作業に集中できるようになり、効率的に揚縄作業ができるようになり、労働災害のリスクも大幅に下がる。新人船員にとっては、ケガをし易い作業から解放され、延縄漁に従事し易くなる。結果として、マグロ延縄漁の船員不足・高齢化が緩和されるとともに、生産性、収益性を高めることが期待される。
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