新技術開発助成

第108回新技術開発-04

高圧水素環境用小型材料試験機の試作開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 神戸工業試験場
代表取締役社長 鶴井 昌徹
所 在 地
兵庫県加古郡
技   術
所 有 者
株式会社 神戸工業試験場
技   術
開 発 者
株式会社 神戸工業試験場
本部長 中塚 博秀

技術開発内容

 水素エネルギーの利活用は、地球温暖化防止の切り札と期待され、各所で研究開発と導入が 進められている。しかし、水素は、原子サイズが小さく、可燃性が高いために取り扱いが難しい。このため、封入容器やエネルギー機器が使用圧力下で材質的に健全であるかを見極める必要があるが、現状では、高圧水素環境試験機の設置基準が非常に厳しく、環境試験を行える試験機および実施機関が不足しており、技術開発・製品化促進のボトルネックとなっている。
 申請者は、一般に用いられる試験片よりも、格段に小さいミニチュア試験片のサンプリング・加工技術と、その試験に用いる試験機・試験技術を蓄積してきた。高圧水素環境下での試験は、高圧ガス保安法の適用対象であるが、容積と圧力の積が0.004MPa・m3以下であれば、危険が小さく適用から除外される。これに着目して、日本製鉄(株)と共同で、ミニチュア試験片を用いる高圧水素環境下の曲げ疲労亀裂伝播試験法・装置を開発してきた。本申請では、これをベースに、水素機器において重要な、低ひずみ速度引張(SSRT)試験、疲労き裂進展試験、破壊靭性試験、高サイクル疲労試験を行うための、試験装置と試験法を開発する。4点曲げ試験においては試験片長手方向に垂直に力を加えることで足りたのに対し、本開発では、試験片長手方向に力と変位を、大きく、或いは、繰返し加える必要がある。試験装置は、一般的なサーボパルス試験機を用い、漏洩しないシールと精度の高いロードセルを備えたチャンバーと治具を開発する。
 本開発により、標準試験片の1試験当たりの受託試験費用を現在の1/3以下、試験装置価格を1/数十以下で市場に提供可能となる。結果的に、簡便に試験が可能となり、開発過程のみならず、生産工程における抜き取り試験も可能となる。将来的な国際標準化も視野に含まれており、水素エネルギー社会の実現加速に大いに貢献できると期待される。

図