微量の血液や細胞溶液を流すことで病気の診断を可能とするマクロ流体デバイスや、オイル中に水滴を形成するドロップレットチップは十分に活用されていないのが現状である。一方、多くのバイオ研究者が活用できる低コストで簡便に使用可能なドロップレットチップの提供が待たれている。
従来はチップに流体を流しこむ装置の開発も難しく、高額な装置となっている。チップそのものコストも高く、ごく一部の研究機関しか使用できなかった。これに対して、本技術によれば、減圧を用いることで、ポンプを有せずにマイクロ流体への送液を可能とすることと、従来の流体デバイスの混合で用いられるT字、十字の構造でない新たな一本流路構造とすることで、ドロップの大きさや速度を制御することを可能とした。これによりドロップ生成を行うまでの準備時間を1分と大幅に短縮している。また、真空包装したチップで使用場所を問わずに観察することが可能となる。
このドロップレットチップは特に病気診断市場において、使い勝手がよく、導入コストも従来の装置に比べ低コストであり、多くの診断チップが活用されるきっかけとなりえる。また、本技術は化粧品等の界面活性剤による乳液などでの開発への展開も考えられる。これにより、今後需要が期待される安全性の高い天然素材を使った化粧品開発等に価値あるツールとなる可能性があり、バイオからケミカルまで幅広く展開できる技術である。
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