今日、腹腔鏡手術やロボット手術の技術取得において、VR、AR による手術シミュレーションや動物臓器によるトレーニングの必要性が高まっている。豚などを使ったトレーニングはコストがかかるとともに、動物愛護の観点からも代替物の提供が望まれる。そのため、ブロック状の模擬臓器などでの訓練を試みるケースもある。VR、AR を用いたトレーニングでは、感触の再現に課題があり、リアルな経験とはかけ離れているのが現状である。
臓器の形状のみを型取ったものはあるものの、質感が再現されているものはなく、また電気メスなどで切除した際に分解物が安全でないなどの問題があった。さらに血管などをその中に配置し疑似の血液が流せるものは少ない。本技術によれば、安全なコンニャク粉や増粘剤を使用して、形状や質感を高め、また擬似血液を流した血管構造も設け、リアリティのある臓器モデルを形成することができる。電気メスなどのエネルギーデバイスを用いて止血などのトレーニングが可能となる。
この模擬臓器の技術は、実際の臓器の感覚に近いため、若手医師などへのトレーニングに有効である。さらにAR、VR のシミュレーションの併用により、高い医療技術習得につなげることができる。また、手術用ロボットの導入に際して、医師のトレーニングの機会を提供し、適正な使用方法の提示、より確度の高い外科手術の提供など、社会に貢献することができる。加えて、植物由来の安全な素材からなり、環境影響が少ない技術である。
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