新技術開発助成

第110回新技術開発-03

次世代型の多項目迅速検出チップ・システムの開発

技 術 開 発
契 約 者
アール・ナノバイオ株式会社
代表取締役 伊藤 嘉浩
所 在 地
埼玉県和光市
技   術
所 有 者
アール・ナノバイオ株式会社
技   術
開 発 者
技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 医療診断、ヘルスケアなど医療分野の測定では、血液などのサンプルを検査センターへ送り大型精密装置によって分析するか、その場で測定できるものの、ひとつの測定項目を簡易に定性的に検出する免疫クロマトグラフ法などが一般的である。このため、複数の検査項目を、高感度・迅速にその場で測定可能な装置への需要が高い。このような背景において、本開発では、マイクロアレイ・バイオチップを用いて、多項目を迅速・高感度に計測する小型装置を開発する。
 本技術では、アレルゲンやウイルスなど複数のタンパク質等を、同一の測定チップ(基板)上に固定化する光固定化法が基盤となる(図1)。これを用いて、図2に示すような原理で測定できる。固定化する試薬や膜厚など調製条件を最適化することで、多様なタンパク質を安定して大量に固定化し、高いS/N比(高感度化)を実現できることが特長である。本開発では、マイクロアレイ化した測定チップと、マイクロ流路に擁した試薬カートリッジにて測定を完結させることで、従前はA3サイズの卓上型装置で30分要していた測定を、携帯可能な小型装置にて10分で可能とする。対象としては、1滴(5~10マイクロリットル)の血液から、アレルギー抗体ウイルス抗原タンパク質抗体、自己免疫疾患抗体、がんマーカーなど、多様な検査項目をカバーする。
 本開発の光固定化法を用いた検査装置により、中小医療機関をはじめ、調剤薬局等において、その場で多項目の確定診断が可能となる。また、開発後には体外診断薬の認証取得・保険収載が計画されており、また、装置・消耗品コストが削減できることから、国内外での普及拡大が期待される。さらに、将来的には、環境分析や食料分析などへの展開の可能性も期待される。

図

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