人の高度なスキルやパフォーマンスを道具とともに立体映像として記録し、自由視点再生することで、スキル伝達や教示を高度化できる(図1)。立体映像記録技術は、24〜48台のRGBカメラ画像から人と道具の3次元形状モデルの時間変化データを構成するボリュメトリックシステムとして実用化され、スタジオでの撮影サービスが始まっている。ただし、現行システムは高額で、スタジオの場所が限られ、撮影コストも高いため、利用範囲は限定的である。
提案者は、距離を計測できるToF(Time of Flight)カメラとRGBカメラによる独自カメラユニット4台のみで立体映像を記録する簡易型ボリュメトリックシステム(図2)を開発し、大幅な低価格を図る。計測誤差は1mm以下、3次元形状モデルは2万ポリゴン以内、撮影から3.3秒遅れでのリアルタイム立体映像再生を目標とする。提案者らはToFカメラユニットの試作を完了し、RGBカメラから人と道具を含むエリアをグリーンバック無しで抽出する光学技術の特許を申請している。これらを基に実用化システムを5セット試作し、3セットは提案者の国内拠点に設置して立体映像コンテンツのリアルタイム通信性能の確認、調整に利用する。2セットは連携する大手通信企業に設置し、新しい立体映像コンテンツへのシステム適合性を検証する。
簡易型システムは300万円程度での販売を予定している。製造や保守スキルの記録、遠隔地へのリアルタイムスキル教示などビジネス利用を想定する。3年後には量産効果で150万円程度までの低価格化を実現し、自らのパフォーマンスを記録、配信する一般ユーザへ販売を拡げる。立体映像コンテンツを流通させる4D-TikTokのようなサービスを展開する。カメラ画像から身体骨格運動を抽出しCGで合成する方法ではフェイクが避けられないが、ボリュメトリックシステムによる立体映像ではフェイクが作成しにくく、コンテンツ信憑性が高い点で優位である。
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