リチウムイオン電池の需要は増大しており、これに伴いそのリサイクルには課題が残る。特にCoなどの貴重な金属は酸化させずに回収、リサイクルすることが求められる。また、リチウムイオン電池を構成する電解質に含まれる有機物の処理にあたっては、有害な物質を飛散しないよう環境に細心の配慮が求められる。当然ながら処理にかかるCO2排出量低減も課題となる。
本新技術開発は、こうした課題に対応したリサイクル装置のシステム化開発に関わるものである。放電処理の済んだ廃棄リチウムイオン電池は、図1に示す独自の熱分解炉内に設置された乾留BOXに装填される。以後、本新技術開発にかかる各フローとその特徴を以下に説明する。
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熱分解炉の乾留BOX内には過熱水蒸気を供給し空気パージにより熱分解を行うことで、回収すべき構成物質である金属を酸化させずに処理することができる。また、有機物の熱分解ガスは空気との反応を回避しながら燃焼室へと還流され、加熱用燃料として効率良く利用される。
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2. |
リチウムイオン電池の電解質に含まれる物質の熱分解の過程で発生するフッ素、SOx、NOx、Cl等の有毒物質は、次工程で石灰による乾式吸着装置(図2)で固定化・無害化される。
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3. |
さらに、石灰で固定化した物質の煤塵除去を行う二連式排ガス処理装置(図2)をシステム化する。本開発を通して、乾式吸着・二連式排ガス処理装置のメンテナンス性の確立を行う。
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本新技術開発により構築されるシステムは、安全で省エネルギー且つ経済性に優れたリチウムイオン電池リサイクル装置であるとともに、CO2排出量を大幅に抑え地球温暖化防止効果が大いに期待される。
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