医療・美容分野でレーザー治療が浸透してきており、様々な症例に利用され、ニーズが拡大している。しかし、施術時、反射光などから医師等の目を保護するため、遮光メガネを用いるが、従来の光学フィルタや液晶シャッターによる遮光では、装着時は視界が暗くなり、施術部位が見えにくく、着脱を繰り返すことで、医師がストレスを感じ、施術時間が長くなり患者に負担を与えるという問題があった。特に、従来の液晶シャッター式では、光を検知してから遮光するため、漏れ光が目に入る危険があった。また、遮光後、シャッターは閉じ続けるため、患部を視認することができない。
そこで、液晶シャッターをレーザーの発光状態から予測コントロールして、多様なレーザー治療器に対応し、パルス照射タイミングに同期することで減光されたレーザー照射位置と、レーザーOFF時のシャッターが開いているときに視認できる施術部位を、残像効果により重なったイメージとして認識することで、装着したまま、施術部を観察しながら治療を可能とする保護メガネを開発・提供する。
本提案の保護メガネも、液晶シャッターと光量センサーを有するが、施術開始前に、シャッターを閉じ、センサーにて数パルス受光することで、パルス幅と発光間隔を検知し、シャッター開閉時間とタイミングを導出する。パルス幅を包含する時間でシャッターを閉じ、確実に発光時のレーザー光を遮光する(図1)。施術中もパルス幅・間隔を計測し続け、リアルタイムでシャッター開閉と発光タイミングのずれを補正し、経時的な変動に対して安全性を確保している。
本技術では、治療器と保護メガネの間でトリガー信号等の授受を不要とするため、治療器側に改良を加える必要が無く、既に導入されている治療器に対しても適用できる。
本技術によりレーザー治療の質向上、リスク低減など医師・患者ともに得られる価値が高いと考える。従来にない、患部を注視しながら治療を可能とすることで、正確に施術部位にレーザーを照射し、施術時間短縮により、火傷や治療時の痛みを低減可能とする。また、メガネが個別に動作することから治療に臨場している各関係者が、患部と施術状態を確認できるため、医療事故等の低減にも資すると考える。
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