熱中症による死傷者数は増加傾向にあり、近年の地球温暖化と相まって今後益々大きな社会問題となることが懸念されている。特に建設業においては、暑熱下での建設現場における熱中症のリスク管理が重要な課題となっている。
本技術開発では、作業中の全身発汗量をリアルタイムで把握することで、早期に熱中症のリスクを予測できる可能性に着目し、ヘルメットをかぶるだけで発汗量が計測できる新規のウェアラブルデバイス(図1)を開発するとともに、デバイスを活用した熱中症リスク管理システムの開発を行う。頭部発汗量は、ヘルメット内部に強制的に空気の流れを作り、空気流入口と流出口の2箇所の温湿度センサの計測値と空気流量から求める。全身発汗量の算出は、頭部発汗量を単純に体表面積比率倍するのではなく、作業環境、作業時間、作業員の体重、身長、頭髪量等を分析することで精度の向上を図る。また、実用性の観点からミスト噴射による首筋の冷却機能も付加する。熱中症リスク管理システムについては、分析機能付きクラウドソフトウェアを開発し、熱中症リスクを予測し警告、助言を行う等、リスク低減のためのサービスを提供するシステムを構築する。
本技術開発により、建設現場における熱中症リスクを低減し、効率的かつ安心・安全・快適な作業環境の提供に資することが期待される。
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