近年の地球温暖化に伴う異常気象の多発による自然災害は、人的被害だけでなく、年間数千億円から世界的に見れば数兆円を超える経済的損失を引き起こしている。この災害を減らすことは、我が国はもとより地球全体の課題でもある。異常気象による自然災害、特に高波・高潮・異常潮位・急潮といった沿岸域の水害を減災するためには、分単位で気象海象をモニタリングする技術開発が求められている。
本システムは、従来の超音波や水圧式センサー等を使わず、みちびき凖天頂衛星の高精度測位データと独自に開発したAI学習モデルを用いて、波高・流速・潮位・風速を計測することを特徴とする小型係留ブイ型海洋観測システム(図1)である。本技術開発では、ブイの小型軽量化に向けた太陽光パネルの最適化、24時間365日計測の実現に向けたシステム全体の省電力化、測位データの安定化・精度向上に向けたジンバル機構による仰角安定化、ブイの転倒防止と耐久性向上により実用化を目指す(図2)。
近年の異常気象の多発による自然災害の経済的損失は、地球全体の課題でもあり、リアルタイムにオンデマンドで被害状況をモニタリングできる本観測システムは、減災の鍵を握る基盤技術として社会的に公益性の高いインフラであり、極めて重要な取り組みである。
|