本技術開発では、近赤外線を応用することでX線を用いることなく、X線観察と同等の透視像を呈示する観察装置の実現を目的とする。現在、申請者らが提供する「超精密血管内手術シミュレータEVE」等を用いて、カテーテル血管内手術の技術トレーニングや、医療機器の開発評価が広く行われているが、その際には、カテーテルの透過観察を目的として、実際の手術に使用されるX撮影が多く用いられている。本装置の実現により、医療従事者のX線被曝を回避できる。
近赤外線は、物体透過性に優れることが知られている。申請者らは、近赤外線の応用によって血管内手術に使用されるカテーテルを透過観察できることを見出した。本技術開発では、特にカテーテルの透過性に優れることが確認された波長1200nm、1300nmの近赤外線を用いて、実際のX線観察に近い透過像を呈示できる「血管内カテーテル手術のシミュレーションのための脱X線型観察システム」を実現する。本装置によれば、実際の手術に近いカテーテルの半透過画像を見ながら、X線被爆することなく、手術シミュレーションを行うことができるようになる。
X線被曝については、近年注視されてきており、医療従事者の被曝を回避するための方法が模索されている。本技術開発は、医療従事者の被爆問題を回避する一助となるものである。
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